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AI検索時代、「見られる競争」から「語られる競争」へ

AI検索時代、「見られる競争」から「語られる競争」へ

バリューコマース株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 最高経営責任者:香川 仁)は、2026年7月23日、KABUTO ONEで開催された「Commerce Next Tokyo 2026」のリアル交流会において、執行役員の天野が「需要は『刈り取るもの』から『生成するもの』へ ― 生成AI時代のNarrative Marketing」と題し登壇しました。
生成AI時代では、企業が「何を伝えるか」だけでなく、ブランドがどのように「語られるか(Narrative)」が、マーケティングの成果を左右する重要な要素になっています。「Commerce Next Tokyo」は、EC・リテール業界の最新トレンドや実践事例を共有するカンファレンスです。当日は、多くの企業がAI活用やコマースの未来について議論する中、私たちは「AI検索がマーケティングにもたらす構造変化」をテーマにお話ししました。
AI検索は、SEOの延長ではない
現在、多くの企業でAI検索への取り組みが始まっています。しかし、その多くは「AI検索時代のSEO」として捉えられているのが実情です。私たちは、この見方だけではAI検索がもたらす本質的な変化や、可能性を十分に捉えられないと考えています。

従来の検索エンジンは、「答えを探す技術」でした。検索キーワードに対してWebページを一覧で提示し、ユーザー自身が比較・判断を行います。一方、生成AIは「解釈を生成する技術」です。AIは複数の情報源を読み込み、比較し、文脈を理解したうえで、一人ひとりに合わせた回答を生成します。

つまりAI検索は、検索体験を高度化したものではありません。人間の認知活動を支援する新しいインターフェースです。その意味で私たちは、AI検索を「検索の進化」ではなく、「認知の進化」と捉えています。
生成AIは「需要」を生み出し始めている
広告は長年、「すでに存在する需要」を獲得するために進化してきました。検索広告は検索のフェーズで購買意図を捉え(Zero Moment of Truth:ZMOT)*¹、リターゲティング広告は興味を持った人の意思決定を後押しします。
一方、生成AIは、そのさらに手前でユーザーとの対話を通じて、新たな興味や課題認識を生み出します。
Similarwebの調査*²によれば、購買意図を持たずにAIとの対話を開始したユーザーの46%が、対話中に購買シグナルを示すようになったと報告されています。
つまり生成AIは、「答えを返す」だけではなく、「欲しい」という気持ちそのものを生み出し始めているのです。
従来の検索がZMOTで顕在化した需要を捉える仕組みだとすれば、生成AIはZMOTより前の段階から需要形成に関与しています。この意味で、AI検索は検索エンジンの進化ではなく、生活者の認知や意思決定のプロセスそのものを変える新しいインターフェースだと言えるでしょう。

*¹ Zero Moment of Truth(ZMOT):Googleが提唱した概念。消費者が商品を購入する前に、検索やクチコミ、レビューなどを通じて情報収集・比較検討を行い、購買意思を形成する段階を指します
*² Similarweb 「Advertising in AI: Insights from Real User Behavior」(2026年5月発行)
https://www.similarweb.com/corp/reports/advertising-in-ai//?utm_source=chatgpt.com

「見つかること」から「どう語られるか」へ
AI検索の登場によって変わったのは、検索結果の表示方法だけではありません。情報の選ばれ方、評価のされ方、そして企業と生活者のコミュニケーションの前提そのものが変わり始めています。
講演では、その変化を5つの視点から紹介しました。
 
1. 最大公約数から個別解へ
従来の検索エンジンは、多くの人にとって最適と思われる「最大公約数」の情報を返す仕組みでした。例えば「2歳の誕生日ケーキ」と検索すると、「甘さ控えめ」といった、多くの家庭にとって重要な情報が上位に表示されます。
しかし実際には、「グルテンフリーを重視したい」「乳製品アレルギーに対応したい」「脂質をできるだけ抑えたい」など、家庭ごとに重視する条件は異なります。
生成AIは、こうした個々の事情をプロンプトから理解し、その人にとって最適な答えを生成します。
検索が「最大公約数」を探す仕組みだとすれば、AI検索は「個別解」を導き出す仕組みへと進化しているのです。
 
2. ドミナントストーリーからオルタナティブストーリー群へ
従来、ブランドは企業が発信する公式メッセージを中心に形成されてきました。しかしAIは企業サイトだけではなく、レビュー、比較記事、SNS、コミュニティなど、多様な情報源を横断的に参照します。
その結果、企業が発信するひとつの「正しいブランドストーリー」ではなく、生活者や専門家、クリエイターによる無数の語りがブランドの理解を形づくるようになります。
企業には、公式ストーリーだけではなく、多様な第三者の物語が自然に生まれ、流通する環境を設計することが求められます。
 
3. アテンションエコノミーからトラストエコノミーへ
従来のデジタルマーケティングでは、「いかに注目を集めるか」が競争の中心でした。
しかしAIが回答を生成する時代では、単に目立つ情報よりも、「信頼できる情報」が優先されます。
誰が発信したのか、どのような体験に基づくのか、ほかの情報と整合しているのか。こうした「信頼」が、情報の価値を左右するようになっています。
 
4. ランキングからレコメンデーションへ
検索エンジンは、ユーザーに候補を提示し、その中から選択を委ねる仕組みでした。
一方、生成AIは複数の情報を統合し、「あなたにはこれが適している」と推薦する仕組みです。
つまり、ランキングという競争から、文脈に応じたレコメンデーションへと情報流通のメカニズムそのものが変わりつつあります。
 
5. オウンドメディア中心の最適化からNarrative Marketingへ
従来のSEOでは、自社サイトを最適化し、検索順位を高めることが重要でした。
しかしAIが参照するのは、企業が管理するオウンドメディアだけではありません。レビュー、比較記事、SNS、UGC*³、専門メディアなど、情報環境全体を横断的に読み込み、回答を生成しています。
*³ UGC:一般ユーザーによって投稿された写真やクチコミ

このような変化を踏まえると、AI検索対策を「AI向けSEO」とだけ捉えるのは十分ではありません。
重要なのは、ブランドについてどのような物語が生まれ、どのように語られているかを設計することです。
私たちは、この発想を「Narrative Marketing」と呼んでいます。
AI検索時代に企業が競うのは、「検索順位」ではなく、「信頼される物語がどれだけ情報環境で語られているか」なのです。 
「誰に届けるか」から「どう語られるか」へ
デジタルマーケティングは長年、「誰に届けるか」を高度化する方向へ進化してきました。
その代表例が、Look-a-Like(類似オーディエンス)によるオーディエンス拡張です。購買履歴や閲覧行動、興味関心などのビッグデータを分析し、既存顧客と似た特徴を持つユーザーへ広告を届けることで、成果を最大化する技術です。

この考え方の根底にあるのは、「相関」です。
「この商品を購入した人は、こちらの商品も購入しやすい」「この行動を取った人は、コンバージョンしやすい」。配信アルゴリズムは、膨大なデータから相関を学習し、「誰に届けるべきか」を最適化します。
もちろん、このアプローチはデジタル広告を飛躍的に発展させました。
一方で、その最適化の中心にあるのは「なぜその人がその商品を選ぶのか」という文脈を理解しなくても、「誰に届けた方が効率がいいか」を決めることができるという発想でもあります。

一方、AI検索では、重要になる問いそのものが変わります。
AIが読み解こうとしているのは、「誰に届けるか」ではなく、「そのブランドが、どのような文脈で語られているか」です。
レビュー、比較記事、SNS、UGC、専門メディア──AIはこうした第三者の語りを横断的に読み込み、それぞれの文脈を理解したうえで回答を生成します。
私たちは、本当に拡張すべきなのはオーディエンスではなく、ナラティブだと考えています。

ブランドについて語られる体験談、比較、レビュー、活用シーン、評価──こうした多様な物語が増えるほど、AIが理解できるブランドの文脈も豊かになります。
私たちは、この考え方を「ナラティブ拡張」と呼んでいます。
AI検索時代に競うべきなのは、広告のリーチではありません。
どれだけ多くの人に届けたかではなく、どれだけ豊かな物語が語られているか。
オーディエンスを拡張する時代から、ナラティブを拡張する時代へ。
マーケティングは今「誰に届けるか」の競争から、「どう語られるか」の競争へと移り始めています。

「見られる競争」から「語られる競争」へ
講演の最後にお伝えしたかったメッセージは、とてもシンプルです。
AI検索時代に企業が設計すべきなのは、
  ・何を語るか       ・誰に語ってもらうか       ・どう評価するか     
です。

SEOは「見つかるか」を測る指標でした。
これからは、「信頼される形で語られているか」を評価する新しい指標も必要になります。
私たちはその考え方を「Narrative Score」(特許出願中)として研究・開発しています。

また、ナラティブを拡張するプロダクト「Narrative Marketing Platform」についても準備中です。
おわりに
AI検索の登場によって変わるのは、検索結果だけではありません。
企業と生活者の関係、ブランドが形成されるプロセス、そしてマーケティングそのものの前提が変わり始めています。
「見られる競争」から「語られる競争」へ。
バリューコマースは、AI時代のブランド形成を支える新しいマーケティングのあり方として、「Narrative Marketing」の実践を進めていきます。

AI検索時代のマーケティング戦略やNarrative Marketingについてご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

【関連リリース】
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バリューコマース株式会社についてバリューコマースは、コマース事業および旅行事業領域において、テクノロジーとデータを活用した集客・販売促進支援、ならびにデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援しています。広告主やパートナー企業のビジネス成長を支援する多様なマーケティングソリューションを提供。さらに、宿泊・旅行事業者向けのブッキングエンジンを通じて、予約管理や直販強化など、旅行業界のDX推進にも貢献しています。私たちは、先進的なテクノロジーと豊富なデータを基盤に、企業・消費者・社会が価値を共創する持続可能な未来の実現に取り組んでいます。https://www.valuecommerce.co.jp/

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