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企業のUD推進のカギ:UXインテリジェンス協会の活動に迫る

企業のUD推進のカギ:UXインテリジェンス協会の活動に迫る

ユニバーサルデザイン(UD)を企業戦略に組み込む鍵は、UX組織の構築にある。一般社団法人UXインテリジェンス協会(UXIA)が推進するUX組織開発分科会の活動は、多様なユーザーニーズに対応したUDの実現を支える重要な取り組みだ。この分科会を中心に、企業がUXを事業成果に直結させる手法を深掘りする。

UDとは、障害の有無や年齢、環境に関わらず、誰もが利用しやすい製品・サービス・空間を設計する考え方だ。近年、少子高齢化やデジタルデバイドの深刻化により、企業は顧客生涯価値(LTV)を高めるためにUDを必須化せざるを得なくなっている。しかし、単なるバリアフリー施策ではなく、UXインテリジェンス――ユーザー体験をデータ駆動で最適化する知見――を組織全体に根付かせる必要がある。ここでUXIAの役割が光る。電通デジタルとビービットが中心となって設立されたUXIAは、日本全体のUX成熟度向上を目指し、会員企業が知見を共有・蓄積する場を提供している。

UXIAの活動の中心は4つの分科会だが、特にUX組織開発分科会はUD推進の核心を突く。主にマネジメント層が参加し、1〜2カ月に1回の頻度で開催されるディスカッションは、UXチームの育成・運営・社内浸透に特化。参加企業は、UX人材の不足や経営層の理解不足といった課題を共有し、実務的な解決策を議論する。例えば、トップダウンとボトムアップの両輪を回すアプローチが共通項だ。トップからはKPI・KGIを設定し、UXの事業貢献を数値化。一方、ボトムアップでは草の根的にワークショップを実施し、現場の意識改革を図る。これにより、UDを「コスト」ではなく「競争力の源泉」に転換できる。

分科会の成果は顕著だ。UXIAはこれまで「UX組織開発リファレンスブック」や「UX組織診断・処方箋」を発行し、診断ツールとして活用されてきた。2024年には、これをさらに進化させ『UX組織白書2025』を刊行。白書はUX組織の現在地を可視化し、先進企業4社のインタビューを収録。丸井グループ、三井住友海上、リクルート、MSDの事例は、UD視点で特に示唆的だ。

丸井グループの場合、店舗・デジタル接点のUD統合に注力。UXチームを早期に立ち上げ、顧客の多様な行動データを分析することで、非接触決済や音声ガイドをUD仕様に進化させた。社内浸透では、全社員向けUX教育プログラムを展開し、LTV向上率15%を達成。三井住友海上は、保険商品のアクセシビリティ向上をUX組織のミッションに据え、視覚障害者向け音声ナビゲーションを開発。経営層への説得では、事故リスク低減による保険金支払い削減をKGIに設定し、トップの賛同を得た。

リクルートは求人プラットフォームの多言語・高齢者対応UDを推進。UX組織変遷として、初期のプロジェクト制から常設チームへ移行し、生成AIを活用したパーソナライズ推薦を実現。MSDは製薬業界特有の患者体験UXに特化し、服薬アプリのUD設計でアドヒアランス(服薬遵守率)を向上させた。これら4社の共通点は、UXをLTVの中心に位置づけ、データで裏付ける点。白書分析では、UD施策が顧客離脱率を20%低減し、収益貢献を3割押し上げる事例が複数確認された。

UXIAの強みは、分科会を通じたクロス企業ナレッジ共有にある。他の分科会、例えば先進事例研究分科会ではUD成功事例を研究し、生成AI×UX実践研究会ではAIを活用した自動UD最適化を議論。こうした場で培われた知見は、会員企業に還元され、日本企業のUD水準を底上げする。笹原史郎氏(電通デジタル)は「個社対応では限界がある。UXIAは日本全体の成熟を加速させる」と語る。また、小浪氏の指摘通り、トップと現場の連動がUD成功の鍵だ。

2026年現在、UDはSDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」と連動し、企業ESG評価の必須項目化が進む。UXIAの活動は、LTV向上をUDで実現する具体策を提供。経営層が「LTVを上げたい」と悩むなら、UX組織開発分科会への参加が近道だ。遠藤氏の言葉「LTVの本質は顧客体験にあり、UXIAを頼れ」が示す通り、UD×UXインテリジェンスは企業の未来を拓く。

この分科会の活動は、単なる議論の場を超え、実践的な変革ツールを生み出している。企業は今、UXIAのナレッジを活用し、UDを事業成長のエンジンに変えるべき時だ。(約1520文字)