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2026年施行の法改正がもたらすフリーランスへの影響

2026年施行の法改正がフリーランスに迫る大転換 安全配慮義務の拡大で企業側の責任激増

2026年4月から施行される労働基準法の大幅改正により、フリーランスや業務委託ワーカーが初めて安全衛生法の対象となり、発注企業に新たな安全配慮義務が課される。これまで正社員中心だった労働環境の規制が、個人事業主を含む非雇用形態にまで拡大し、フリーランスの保護が強化される一方で、企業側のコンプライアンス負担が急増する可能性が高い。

この改正は、約40年ぶりの労働基準法大改定の一環として位置づけられ、特にフリーランスの労働災害リスクを防ぐための措置だ。従来、安全衛生法は雇用関係にある従業員を主な対象とし、フリーランスは「個人事業主」として除外されていたため、発注企業は事故発生時の責任を免れやすい状況だった。しかし、改正により業務委託先のフリーランスも法の適用範囲に組み込まれ、発注企業は作業環境の安全確保を積極的に義務づけられるようになった。例えば、現場作業やリモート業務での健康管理、メンタルヘルス対策、危険作業時の保護具提供などが求められる。

具体的な影響として、発注企業が安全配慮を怠った場合、フリーランスが労働基準監督署に通報しやすくなる点が挙げられる。従来は従業員からの監督署への申告が主だったが、今後はフリーランスも同様の権利を得る。これにより、企業は罰金や行政指導のリスクを抱え、業務委託契約の見直しを迫られるだろう。たとえば、建設現場で働く一人親方やITフリーランスの長時間労働管理、休憩スペースの確保、ストレスチェックの実施が義務化され、違反時は安全衛生法違反として罰則が適用される可能性がある。監督署への通報が増えれば、企業は即時是正命令を受け、場合によっては業務停止処分に発展しかねない。

フリーランス側へのメリットは明らかだ。差別的な扱いの禁止が強化され、大企業が低賃金で安易に活用する「ずるい」慣行が抑制される。改正の背景には、2024年11月に成立した「フリーランス新法」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)があり、これが労働基準法改正を後押しした形だ。新法は取引の公平性を目指すが、2026年の改正で安全面が具体化。フリーランスは契約書で安全条項を明記しやすくなり、事故時の補償交渉力が向上する。一方で、デメリットも無視できない。企業がリスクを避けるため、業務委託を減らし、正社員雇用を優先する動きが出るかもしれない。これにより、フリーランスの仕事獲得が難航し、収入減につながるケースも予想される。

実際の現場では、残業規制の厳格化や14日連続勤務の禁止、副業労働時間の通算ルール見直しも連動し、フリーランスの働き方に波及する。たとえば、複数の発注元から業務を受けている場合、総労働時間が法令上限を超えないよう自己管理が求められるが、安全配慮義務の追加で企業側のチェックが厳しくなる。中小企業は特に負担増で、委託単価引き上げを迫られるか、委託自体を控えるだろう。専門家は「フリーランスの保護が進むが、過度な規制で市場が縮小するリスクもある」と指摘する。

この改正は、働き方改革の最終段階として、雇用形態の境界を曖昧化させる転機だ。フリーランスは事前に対策を講じるべきで、契約時に安全衛生条項の確認、労働災害保険の加入、監督署相談窓口の把握が急務となる。企業側は社内研修の強化と契約テンプレートの更新を推奨。一人親方や副業フリーランスは、新たな保護網を活かしつつ、柔軟な働き方を維持するための適応が鍵となる。2026年4月の施行を前に、業界全体で法令遵守の意識改革が求められている。(約1480文字)