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学生の不安と期待:2027年卒業生に聞く、就活解禁前の心境
学生の不安と期待:2027年卒業生に聞く、就活解禁前の心境
2026年2月、就活解禁を目前に控えた大学4年生の2027年卒業予定者たち。首都圏のキャンパスやオンラインセミナー会場で、彼らの表情は複雑だ。経済格差の拡大や売り手市場の厳しさの中で、学業と就職活動の両立に追われながら、心に渦巻くのは不安と期待の交錯した感情。全国の就活イベントが活発化する中、学生たちの生の声を拾ってみた。
東京・新宿の就活セミナー会場で出会った慶應義塾大学経済学部4年の佐藤さん(仮名、22歳)は、ノートパソコンを広げながらため息をつく。「インターンシップは3社経験したけど、本選考が始まると思うと胃が痛いんです。売り手市場って聞くけど、結局人気企業は倍率数百倍。自分のスキルが通用するのか、不安で夜も眠れない」。佐藤さんの言葉には、典型的な2027卒のジレンマが表れている。新卒一括採用の日本独特のシステムでは、在学中に未経験の若者が選抜され、卒業と同時に社会人へ移行する。経済的空白期間を避けられるメリットはあるが、学業阻害の批判も根強い。就活準備で講義を欠席し、単位取得に追われる日々。佐藤さんは「奨学金返済のプレッシャーも大きい。アルバイトで生活費を稼ぎながら、ES(エントリーシート)と面接練習をこなす。落ち続けたら、非正規雇用に固定化するかも」と吐露する。経済的に余裕のない学生ほど、卒業後の孤立した就活を恐れているのだ。
一方、同じセミナーで商社志望の青山学院大学法学部4年の田中さん(仮名、21歳)は、明るい表情で語る。「人事が直接評価してくれるイベントに参加して、自信がついた。本選考の空気感を体感できて、強み分析シートが自分の表現力を磨いてくれた。期待の方が大きいよ」。田中さんのような学生は、就活イベントの多さに救われている。2月は首都圏を中心に、六本木・有楽町エリアでの業界研究ワークショップ、新宿NSビルでの面接対策セミナー、本町コミュニティーセンターの自己分析講座が連日開催。オンラインイベントも充実し、全国から参加可能だ。商社、金融、メーカー、コンサルなどの人気業界向けイベントでは、内定候補者が集まり、リアルな選考フローを体験。バーチャル面接の実施も話題で、就活生は「本番さながらの緊張感が、意外とモチベーションになる」と口を揃える。
こうしたイベントの裏側で、学生たちの心境は多層的だ。早稲田大学商学部4年の鈴木さん(仮名、22歳)は、「中途採用より新卒一括が効率的だって企業側は言うけど、僕らは駒じゃない。コロナ禍後の人材不足で求人は多いのに、AIやグローバル化で求められるスキルが高度化してる。不安は尽きない」と指摘する。確かに、2025年以降の雇用市場は新卒・中途問わず売り手市場だが、採用コストの安さを狙った企業はマッチングイベントを活用。学生側は大学キャリアセンターのサポートを頼りにするが、経済困窮層の増加で「就活どころじゃない」という声も。福岡のエルガーラホールや広島、金沢のハローワークセミナーに参加した地方学生からは、「交通費がかさむけど、オンラインで業界研究ができるのは助かる。保育や医療、不動産の個別相談で視野が広がった」との期待が聞こえる。
就活解禁前のこの時期、2027卒の学生たちは不安を期待に変える努力を続けている。面接対策で「自分の強みを数字で語る」練習をし、GD(グループディスカッション)で協調性を磨く。マイナビなどの企業検索サイトを駆使し、銀座のレンタル会議室運営企業のように「内定迷い組」を狙った求人もチェック。ある学生は「第一志望内定率が高い就活塾のノウハウを参考に、徹底サポートを受けたい」と意欲的だ。大阪の鉄クズ屋が初の新卒採用に挑戦するなど、中小企業の動きも活発化。イベントで出会う人事の温かさに触れ、「意外と人間味がある」と安心する声も。
しかし、不安の根底には社会構造がある。就活は「自立・自律型」の理想論ではなく、現実の経済格差を映す鏡だ。卒業論文を片手に悠々就活なんて、富裕層の牧歌的幻想。未経験の若者が孤立無援で試験に挑む姿を想像すれば、新卒一括の必然性がわかる。2027卒たちは、そんな中でバランスを取る。セミナー後の飲み会で「一緒に内定取ろうぜ」と励まし合う姿に、日本独特の就活文化の強靭さを感じる。
解禁日が近づくにつれ、心境はシフトする。不安は燃料となり、期待を加速させる。佐藤さんは最後にこう言った。「怖いけど、ワクワクもする。これが就活の醍醐味かも」。2027年春、彼らが羽ばたく日を待ち望む。(約1520文字)
