会員登録 企業登録
会員登録 企業登録

建設業界のWLB革命:鹿島建設の人手不足対策とそのビジョン

建設業界のWLB革命:鹿島建設が目指す人手不足対策の全体像

日本の建設業界が直面する最大の課題が人手不足である。この深刻な問題に対し、鹿島建設会長・押味至一氏は、国内の若い世代への訴求と外国人労働力の確保という二本柱の戦略を掲げている。業界全体が取り組んできた対策をさらに拡大・確実化させることで、建設業の未来を切り開こうとしているのだ。

人手不足は経営上の最優先課題

建設業における人手不足は単なる業界問題ではなく、経営戦略の中核に位置付けられている。押味会長は「人手不足は建設業にとって最大の課題」と明言し、これまで業界が講じてきた対策をさらに拡大していく方針を示している。

この危機感の背景には、建設需要の回復とそれに伴う施工体制の整備が急務であるという認識がある。国土強靭化対策や減災・防災対策といった社会的課題が「待ったなし」の状況にある中で、これらのプロジェクトを推進する担い手の確保が不可欠なのだ。

二層構造の人材確保戦略

押味会長の施策は、大きく二つの柱で構成されている。

第一は、国内の若い世代への訴求である。建設業を「入職したいと思ってもらえる産業」へと転換させることが目標だ。これは待遇改善や労働環境の改革を伴う包括的な取り組みを意味している。

第二は、外国人労働力の確保と定着化である。日本に来ていただいた外国人労働者に「仕事を続けてもらえるように待遇を手厚くしていく」という方針が示されている。ここで重要なのは、単なる短期的な人手補充ではなく、長期的なキャリア形成を支援する姿勢である。

国の役割への明確な期待

押味会長が強調するのは、国による制度整備の必要性である。外国人労働者の活用を企業に任せるだけでは「決していい方向に向かわない」との指摘は、これまでの政策の限界を示唆している。

具体的には、国が外国人労働者を把握し、適切に管理する仕組みの構築が求められている。同時に、日本が「移民政策」ではなく「技術力がある外国人労働者に日本に残っていただくという政策」を取っていることを、国民に対して明確に発信することの重要性が論じられている。

これは単なる人事労務上の問題ではなく、国民的な合意形成を伴う政策課題として位置付けられている。「人と人との関わり」という本質的な視点から、日本国民の「構え」がなければ成功しないという認識は、極めて現実的で深刻な指摘である。

ワーク・ライフ・バランス革命の現在地

建設業界全体では、週休二日制の導入などワーク・ライフ・バランス改善の取り組みが進められている。大成建設社長・相川善郎氏は「4週8閉所」(完全週休二日制)の実現と、それに伴う若い人材の確保を、業界一体となって取り組む姿勢を示している。

特に注目すべきは、技能者の年収向上が「最も重要な課題」として位置付けられていることだ。他業種との年収ギャップを解消するため、「今後5年以上、労務費を上げていかなければならない」との指摘は、建設業の人材確保戦略が中期的な経営課題として本格化していることを示している。

三重県の事例では、7割以上の若手就業者が土日休みを求める一方で、土日完全週休二日制を採用する企業数は半数程度に留まるという現状が明らかになっている。このギャップを埋めることが、建設業の競争力確保の鍵となるのだ。

まとめ

鹿島建設が取り組む人手不足対策は、待遇改善、労働環境整備、国の政策支援という多元的なアプローチを統合した、極めて現実的な戦略である。この「WLB革命」が成功するか否かは、建設業界の将来のみならず、日本の社会インフラ整備能力そのものを左右する重要なテーマとなっていくであろう。