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住民出資で暮らしを支える――長野県豊丘村の道の駅づくり
住民が出資し、地域の拠点を自ら運営
長野県豊丘村の道の駅「南信州とよおかマルシェ」は、地元の農産物を販売するだけの施設ではない。地域住民が出資して設立した会社「株式会社豊かな丘」が管理・運営を担い、買い物や交流など、日々の暮らしにかかわる機能を支える拠点として活動している。
株式会社豊かな丘は2017年、住民が主体となって設立された第三セクターだ。住民からの出資には、地域の生活に必要な機能を維持する「小さな拠点税制」も活用された。資金を地域の内側から集め、事業の担い手にも住民が関わる仕組みは、道の駅を地域の共同財産として育てていく考え方を形にしたものといえる。
農産物を生かし、地域にお金が巡る仕組み
マルシェの柱の一つは、豊丘村や周辺地域で生産された農産物の直売だ。地元の農産物を販売の場につなげることで、生産者の出荷機会をつくり、訪れる人には地域の食の魅力を伝える。パンやジェラート、惣菜なども扱い、農産物をそのまま販売するだけでなく、加工品や食の楽しみへと広げている。
直売や飲食の売り上げは、施設の運営を支える収益になる。同時に、生産者、加工・販売の担い手、来訪者を結び、地域内で仕事とお金が動くきっかけにもなる。道の駅の商業機能を、地域の暮らしを支える事業の基盤として位置づけている点が特徴だ。
買い物の場から、暮らしを支える「小さな拠点」へ
人口減少や高齢化が進む地域では、買い物や人との交流など、身近なサービスをどう維持するかが課題となる。豊丘村の取り組みが注目されるのは、道の駅を観光客向けの施設にとどめず、住民の生活を支える場として運営しているからだ。農産物の販売や飲食、交流の機能を一つの場所に集め、地域の日常と来訪者の利用を結びつけている。
「小さな拠点」は、施設をつくれば完成するものではない。地域の需要に合ったサービスを続け、運営費を確保し、関わる人を保つ必要がある。南信州とよおかマルシェでは、地域資源を生かした事業を収益につなげ、その運営を通じて暮らしに必要な機能を支えるという循環を目指している。
住民・行政・事業者が支える継続性
住民出資による運営は、地域の人々が施設を「自分たちの拠点」として捉える土台になる。一方で、住民の思いだけに頼るのではなく、事業として継続できる収益や運営体制を整えることも欠かせない。行政や企業との連携、制度の活用、現場を担う人材の確保など、複数の主体が役割を分け合うことが重要になる。
豊丘村の事例は、道の駅を地域の農産物を売る場所から、地域の仕事と生活サービスをつなぐ拠点へと広げる試みだ。住民の出資を出発点に、地域資源を生かした商いをつくり、その収益とつながりを暮らしの維持に結びつける。地域に必要なサービスを誰が担い、どう続けるのか。その問いに対し、南信州とよおかマルシェは、住民が運営に関わる仕組みを通じて一つの答えを示している。
