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メタが低炭素セメントの環境価値を購入、建設の脱炭素を後押し
メタ、低炭素セメントの環境価値を購入
米メタ・プラットフォームズは、セメント関連の新興企業フォーテラ(Fortera)と複数年契約を結び、低炭素セメント約20万トン分に関連する環境価値証書を購入する。注目点は、メタがセメントそのものを一括購入する契約ではなく、製品の環境価値を証書として支援する仕組みであることだ。メタは必要に応じて、将来の建設プロジェクトで実物のセメントを使う選択肢も持つとされる。
この契約は、データセンターなどの建設に伴う排出量削減を目指すメタにとって、建材の調達方法を見直す取り組みの一つだ。同時に、低炭素建材をつくる企業にとっては、まだ生産規模が限られる段階から需要を確保し、事業化を進めるための支えとなる。購入者が製品をすべて直接使わなくても、環境価値への対価を通じて新しい生産設備の立ち上げを後押しする点が、この契約の特徴といえる。
二酸化炭素を材料に取り込む製造技術
フォーテラが開発する「ReAct」セメントは、工業由来の二酸化炭素を回収し、セメント製造に使う材料へ転換する技術を特徴とする。同社は、従来のポルトランドセメントと比べて二酸化炭素排出を約70%削減できると説明している。セメントは、原料を高温で処理する工程などのために製造時の排出が大きく、建設分野の脱炭素化で削減が求められる素材の一つだ。
ただし、削減率は企業側が示す数値であり、実際の環境効果を評価するには、原料の調達から製造、輸送、使用までを含めた排出量の算定方法や、比較対象となる従来製品の条件を確認する必要がある。回収した二酸化炭素を材料に利用することが、製造工程全体でどれだけの削減につながるかも重要だ。環境価値証書の信頼性を高めるには、こうした算定の透明性と第三者による検証が欠かせない。
新工場の資金調達と需要づくり
フォーテラは、米ミズーリ州に年間30万トン規模の工場を計画しており、2028年の稼働を目指している。メタとの契約は、その工場で生産される低炭素セメントの環境価値を一定量購入するものとされる。長期的な買い手が見込めれば、事業者は将来の収入をより具体的に示しやすくなり、工場建設に必要な資金調達や投資判断を進めやすくなる。
従来型のセメントよりコストが高い場合、建設会社や開発事業者が環境配慮だけを理由に採用を増やすのは難しい。そこで、環境価値を購入する企業が初期需要を形成し、生産量の拡大や技術改良を促す方法が注目される。大口企業による契約が、供給側の投資と市場の拡大を結びつける先例となるかが焦点だ。
建設脱炭素への期待と、効果を測る視点
建物やデータセンターの排出量は、運用時の電力だけでなく、建設に使う鉄鋼やセメントなどの製造段階でも発生する。再生可能エネルギーの調達に加え、建材の排出を減らすことは、建設分野全体の脱炭素化にとって重要な課題だ。今回の契約は、企業が環境価値に資金を投じることで、低炭素建材の供給を増やそうとする動きを示している。
一方で、証書の購入だけで実際の建設現場における排出削減が直ちに実現するわけではない。証書がどの生産量に結びつき、削減効果がどのように算定・報告されるのかを明確にする必要がある。さらに、工場の稼働時期や生産実績、製品の品質、建築基準への適合も、普及を左右する。メタの契約が計画どおり工場の立ち上げにつながり、低炭素セメントを実際の建築に広げられるかが、今後の評価を決めることになる。
